東京で、
一つの木塊、一人の手、東京。
日本で木をろくろで挽いた記録は、千年を優に超えてさかのぼります。山の木を求めて谷から谷へ移り住んだ木地師たちが技を運び、やがて漆器で知られる町々ができました。そのひとつ、山中では、木地そのものに模様を刻む技が生まれ、名前のついた筋は数十種にふえました。
地域の様式にならなかった技もあります。一人から一人へ渡るか、そこで途絶えるか。浮月挽はその一つです。木塊から輪を切り離し、本体に乗せたまま回します。接いでいません。はめてもいません。この工房の作り手は、この技をただ一人の師から受け取りました。身につけるのに約一年。初めて「できた」と言えた作品はオーナメントでした。
作り手は料理人です。料理に映える皿やコップがほしくて旋盤に来て、いまも料理人のように仕事をします。食材が料理を決めるように、木塊が作品を決める。すべての作品は、東京・大田区の旋盤で、ご注文をいただいてから挽きます。道具の痕は残します。同じものは二つとありません。
この店を作ったのは、こうした仕事を東京の一つの町に閉じ込めておきたくなかったからです。作品は工房で梱包し、日本から直接お届けします。届くのは古いものの複製ではありません。いまも動いている技が、あなたのために東京で挽いた一つです。
組み立てず、削り出す。
新しい作品を、誰よりも先に。
作品はご注文をいただいてから挽きます。メールアドレスをいただければ、新しい形が加わったときにお知らせします。それ以外には使いません。