東京・大田区の木工房
SuuWorx(スーワークス)は、東京・南馬込に構える木工房です。都内では、木工旋盤(木工ろくろ)は数少なくなりました。お椀や皿などの器から、蓋物、細工類まで、すべてこの一台から生まれます。
木はヒノキやケヤキ。木塊は、来たままの姿で受け取ります。木目や節は、削り落とすべき欠点ではありません。作品がどんな形になれるかは、木が決めます。一つの木塊が許す形は、一つだけです。
浮月挽(うげつびき)
この工房が受け継ぐ技が浮月挽です。継ぎ目のない一つの木塊から、特殊なロクロ捌きで本体と一体のままの「輪」を切り出します。切り離すことも、繋ぎ直すこともありません。輪の木目と本体の木目が途切れずに連なるので、継ぎ目はどこにも見つかりません。
これは一子相伝——各代でただ一人にしか伝えられない技です。この技は、井上重信氏から SuuWorx へ受け継がれました。井上氏は、ニューヨークで過ごした十年のあいだに西洋木工ろくろを手にし、中部西洋木工ロクロ協会を主宰する、仏塔の作品で知られる木工家です。
作り手
SuuWorx の作り手は、料理人でもあります。同じ通りに店を構える紬(つむぎ)を営み、自ら挽いた器に料理を盛って出しています。
厨房から旋盤へ来た人です。料理に映える皿やコップを出したい——そう思っていたところへ、一つの挽き物に心を動かされ、自分で作ってみて、作れず、作れる人に頼んで教わりました。浮月挽を身につけるのに約一年。初めて「できた」と言えた作品はオーナメントでした。いまも料理人のように仕事をします。食材が料理を決めるように、木塊が作品を決める。一期一会——その木と会うのは、一度きりです。
作り方
型も図面もありません。まず木を読み、形はそのあとから決まります。
道具が残した痕は、そのまま残します。それは素材が形を変えた一瞬の記録で、消せばその一瞬も一緒に消えます。整えすぎないからこそ、温かみが残ります。
全工程を一人の手で、ご注文をいただいてから行います。同じものは二つとなく、同じものを二度作ることもできません。